2008年04月03日

●マネタリーベースとマネーサプライの違い(EJ第659号)

 現在、日本を襲っている深刻な不況――これを克服するカギを握るのは日本の中央銀
行、日銀であると思います。しかし、われわれは、あまりにも日銀のことについて知り
ません。そこでEJでは、日本の本当の伏魔殿である日銀にメスを入れております。も
う少しお付き合い願います。大事な情報がこのあと出ます。
 「マネタリーベース」と「マネーサプライ」ということばを一緒に使ってきておりま
すが、その違いを明らかにしておく必要があります。これら2つはかなり紛らわしいこ
とばだからです。
 マネタリーベースとは、何度も述べたように、市場に流通している現金(流通現金)
と日銀当座預金の合計をいいます。
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          流通現金+日銀当座預金=マネタリーベース
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 これに対して「マネーサプライ」とは、市中銀行を除く公衆によって保有されている
現金通貨と預金通貨の合計量のことをいうのです。金融機関が除かれているのがポイン
トです。なお、日本の場合はこれに譲渡性定期預金(CD)を加えるのが慣行となって
います。
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         マネーサプライ=現金通貨+預金通貨+CD
         ただし、金融機関をのぞく
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 もう少し覚えておくべきことがあります。というのは、この定義では「預金通貨」の
範囲が明確ではないのです。そこで次の次の記号を意味を知っておく必要があります。
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            M1=現金通貨+要求払預金
            M2=M1+定期性預金
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 要求払預金というのは、要求によって支払われる当座預金、普通預金、通知預金など
のことです。経済雑誌などでマネーサプライについて述べるときは「M2+CDによ
れば・・」というように表現するのはこういう意味があるのです。
 それでは、郵便貯金はどこに属するのでしょうか。
 郵便貯金は、M1同様の高い流動性を持っていますが、M2には含められていないの
です。それは、郵便貯金までは日銀のコントロールが及ばないからです。そこで、別途
M3というものを設けたのです。
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            M3=M2+郵便貯金など
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 しかし、銀行預金から郵便貯金へのシフトが起こると、M2は減少するのにM3は伸
びるという事態が起きるので、金融状態に対する判断をするさいに混乱が生ずる恐れが
あります。
 さて、日銀は現在不況を克服するため現在量的緩和策をとっています。その目標は当
座預金残高5兆円に置いていますが、この目標はほとんど達成されているはずです。し
かし、この12日、13日に開かれた日銀政策決定会合で決まったことは、日銀のホー
ムページによると次の内容であり、何も変化はないのです。
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      1.日本銀行当座預金残高が5兆円程度となるよう金融市場調
        節を行う。
      2.なお、資金需要が急激に増大するなど金融市場が不安定化
        する恐れがある場合は、上記目標にもかかわらず、一層潤
        沢な資金供給を行う。
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 しかも、日銀は量的緩和をやる前には、ゼロ金利政策もとっており、日銀としては前
例がないほど超金利緩和政策を続けてきているのです。そのため資金はもうジャブジャ
ブに市場に溢れているはずなのです。しかし、お金が余っているのは短期金融市場の中
だけであり、資産市場にはお金は回っていないのです。
 マネタリーベースで見ると、1990年代半ば以降増加ペースが高まっています。今
年の5月時点の平均残高は約67兆円ですが、この数字はバブルの最盛期に比べて1.
7倍も増加しているのです。マネタリーベースは増えていることは確かです。
 しかし、マネーサプライはどうかというと、前年比2〜3%程度で推移しており、あ
まり伸びていないといえます。そうするとコール市場ではお金が余っているけれども、
それが貸し出しなどで資産市場に出回っていないということになります。
 しかし、金融機関としては、日銀当座預金に置いていても利子はつかないので、何か
に投資しているはずです。実はその資金は国債市場に向けられているのです。銀行をは
じめとする金融機関は潤沢な資金を企業や個人への貸し出しに使わず、ひたすら国債を
購入しているのです。
 1997年末から2000年末にかけて、預金取扱機関が保有する国債残高は36%
増えており、保険・年金基金については49%も増えているのです。財政赤字が深刻に
もかかわらず、この債券市場への資金流入が長期金利を歴史的低水準にとどめていると
いうわけです。
 このことから分かるように、資金が不足しているのではなくて資金が循環していない
ことが問題なのです。ですから、日銀にいくら一段の金融緩和を望んでも滞留する資金
が増えるだけのことであり、問題の解決にはならないのです。
 それでは、どのようにしたら資金は循環するのでしょうか。
 資金を投資機会に結び付ける手段としての施策がいま求められているのです。その前
提となるのが構造改革です。
 経済アナリストの木村剛氏は、日本経済を水道管に例えて、不純物で水道管が詰まっ
ているときには蛇口をいくらいっぱい開いても効果が乏しいといっています。まずは水
道管(=日本経済)から、不純物(=不良債権)を取り除くことが肝要であるというわ
けです。                     ・・・[円の支配者日銀/09]
posted by 管理者 at 03:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 円の支配者日銀 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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