現在のイスラエル共和国に住んでいるユダヤ人は、常識的にはローマ帝国によって滅
ぼされ、世界各地に散っていった南朝ユダ王国の末裔であるということになります。流
民として国を追われた南朝ユダ王国の末裔たちは、それから長い苦難の年月を経て、1
948年に三度パレスチナの地に戻って「イスラエル共和国」を建設するのです。「エ
クソダス/栄光への脱出」です。
それは世界中のユダヤ人たちによる「ユダヤ人国家を建設する」ことを目指す「シオ
ニズム」という運動によって実現したのです。これはエルサレムの古い名称である「シ
オンの丘」に因んで「シオニズム」と命名され、この運動の推進者を「シオニスト」と
呼んだのです。運動のスローガンは「国のない民へ、民のない国を」というものだった
のです。
しかし、このスローガン、「国のない民へ、民のない国を」は実態とかなり異なるの
です。「国のない民へ」は世界各地に点在するユダヤ人のことをいっています。それで
は「民のない国を」とは、どこの国を指しているのでしょうか。
それは「パレスチナ地方」を指しているのですが、そこは「民のない国」などではな
いのす。そこはパレスチナ人の居住区であり、イスラム教徒、キリスト教徒、ユダヤ教
徒が長年にわたって共存してきた地域だったのです。その当時のユダヤ教徒の数は多め
に見積もっても25000人程度だったのです。そんな地域を「民のない国」と称して
自分の国にしてしまおうというのですから、最初からむちゃくちゃな話だったのです。
ところで、現在のイスラエル国の人たちが南朝ユダ王国の末裔であるということには
異説があるのです。これは、1年前の2月14日のEJ555号で一度ご紹介していま
すが、それ以後EJの読者は100人以上も増えていますので、新しい情報を加えて再
現させていただきます。
ユダヤ人、とくに「旧約聖書」に登場するユダヤ人は、人種的には「セム系」といわ
れる人たちであり白人ではないのです。モーセやダビデ、ソロモン、イエス・キリスト
――いずれも白人ではなく、肌の浅黒い人たちなのです。ちょうど、タリバンの人たち
に近い風貌と肌の色をしていたのです。
しかし、現在、イスラエル国に住んでいる人たちはどうみても白人です。それから、
ユダヤ人と呼ばれる有名人――アルベルト・アインシュタイン、カール・マルクス、ジ
ークムント・フロイト、ヘンリー・キッシンジャー、ジョージ・ソロス、すべてユダヤ
人ですが、風貌は白人です。どうみても、タリバンの人たちとは人種が異なると考えら
れます。それでいて、クリストファー・コロンブスやミッシェル・ノストラダムスなど
はユダヤ人ですが白人ではありません。
これに対してユダヤ人社会では、白人系と非白人系に次のように分類しており、別に
不思議はないとしています。
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1.白 人系ユダヤ人 ・・・・ アシュケナージ系
2.非白人系ユダヤ人 ・・・・ スファラディー系
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これを疑問に思った人がいます。その人の名前は、アーサー・ケストラー、彼はハン
ガリー生まれのジャーナリストにして科学者であり、そして偉大なる思想家だったので
す。彼自身も白人系のユダヤ人なのですが、彼はどうしてこんなに白人系ユダヤ人が多
いのか不思議に思って丹念に調査してみたのです。
その結果、8世紀以前の古代においては、白人系のユダヤ人はほとんどいないのに、
8世紀を境にして一挙に白人系のユダヤ人が増えていることがわかったのです。そこで
ケストラーは、なぜ白人系ユダヤ人が突然増えたのかについて調べてみたのです。
研究の結果、ケストラーはその原因を突き止め、それを一冊の書にまとめます。
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アーサー・ケストラー著
『ユダヤ人は誰か[原題:第13支族]』
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その内容はあまりにも衝撃的で、多くの国が翻訳出版を控えたので、この書について
知る人は少ないのです。しかし、1983年、ケストラーは服毒自殺で世を去ります。
妻も毒を飲んでおり心中事件として処理されたそうですが、この書が原因の他殺という
疑いもあるとのことです。
この書に書かれている内容をご紹介しましょう。
紀元7世紀において、コーカサスからカスピ海北岸に「カザール」という国があった
のです。カザールはとくに国として宗教を持っておらず、土俗の民間信仰だけの国であ
ったのです。そのため、カザールは隣接する強大国から宗教的干渉を受けます。カザー
ルの南の「ビザンティン帝国」と「ウマイヤ朝(のちのファティマ朝)の2国です。
ビザンティン帝国はキリスト教、ウマイヤ朝はイスラム教を国教としています。カザ
ールは悩みます。どちらの宗教に改宗しても戦火に巻き込まれることは間違いないから
です。
しかし、この国には支配層に知恵者がいたのです。カザールはキリスト教でもイスラ
ム教でもないユダヤ教に改宗してしまったのです。これには、ビザンティン帝国もウマ
イヤ朝も文句はいえなかったのです。なぜなら、キリスト教もイスラム教もユダヤ教を
母体としているからです。ケストラーの書によると、8世紀を境にして白人系ユダヤ人
が一挙に増えたのは、これが原因であるというのです。
カザールの人々は、人種的には「コーカソイド」と呼ばれる民族であり、ユダヤ人と
は何も関係がないし、まして南朝ユダ王国の末裔ではないのです。その証拠に、昨日ご
紹介したラビ・M・トケイヤー氏によると、現在のイスラエル国のユダヤ人は古来から
のユダヤの風習を持っていないそうです。その風習はむしろ日本に色濃く残っていると
いうのです。 ・・・ [9.11とアフガン戦争/19]
2007年10月24日
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