2007年08月17日

●ネオはアノマリーである(EJ第1260号)

 今朝は映画『マトリックス』のテーマを一応しめくくることにします。第2章でネオ
は、預言者のオラクルにザイオンを救うためにはソース(マトリックスの中核部分)に
たどり着き、マトリックスの設計者であるアーキテクトに会う必要があるとアドバイス
されます。
 そのためには、キー・メーカーの持つ鍵が必要なのですが、そのキー・メーカーは、
メロビンジアンというマトリックス内の古いプログラムに幽閉されているのです。そこ
で、ネオたちは、メロビンジアンのところに行き、キー・メーカーを奪還して、大変な
苦労をして、アーキテクトにたどり着くのです。
 そのアーキテクトとネオの対話――ここにこの映画のすべての謎が隠されているので
す。ここで、2つの重要なことがアーキテクトによって語られるのです。
 1つ目は、「なぜ、私はここにいる?」というネオの問いに対する次のアーキテクト
の答えです。話の内容は非常に難解ですが意味がわかるでしょうか。字幕をそのまま掲
載します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
      アーキテクト:
      君はアンバランスな均衡の余剰だ。プログラム固有の問題だ。
      つまり、君は変則的なアノマリーの産物だ。いまだ、排除でき
      ずにいるが、本来求めたのは数学的な正確さだ。解決すべき問
      題だが、予想範囲内でコントロールも可能だ。それで君は容赦
      なくここに導かれた。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 要するにアーキテクトは、ネオは「アノマリー」だというのです。「アノマリー」と
は例外とか変則とか異例という意味です。システム全体の設計思想に問題があると、こ
のようなアノマリーが生じてしまうのです。アノマリーは、システムの中に本来あって
はならないものです。
 つまり、ネオやエージェントのスミスはアノマリーであり、本来排除すべきものなの
だが、いまだに排除できないでいる――とアーキテクトはいうのです。しかし、もとも
とアノマリーはその出現が予想されていたものであり、大きな意味ではシステムのコン
トロール下にある――だからこそ、いや応なく君はここに導かれてきたのだといってい
るのです。
 重要なことの2つ目は、現在のマトリックスのバージョンが6であるという事実です
。バージョンが変わるたびに人類は危機に瀕し、そのつど選ばれし者である救世主があ
らわれて、次に述べることを行ってザイオンを再建してきたというのです。

      アーキテクト:
      ここでの「選ばれし者」の役割は、起動源(ソース)に戻って
      自分が保持するコードの臨時配布を実行、基幹プログラムを再
      挿入することだ。その上で、君はマトリックスから女性16名
      および男性7名から成る23名の人間を選抜し、ザイオンを再
      建する。この処理過程での不履行の発生は大規模なシステムク
      ラッシュを招き、マトリックスに接続された全ての人間の生命
      を奪う結果となる。それはザイオンの崩壊と併せて、最終的に
      は人類の滅亡を意味するのだ。

 アーキテクトによると、最初のマトリックスは、AIである自分が制作したので、シ
ステム上完璧であって、いっさいのアノマリーが発生しないものだったが、人間がそれ
を受け入れなかったというのです。そこで、システムのレベルを下げて、もっと乏しい
心、完璧のパラメータに束縛されない貧しい精神に基づくシステムを目指して6回も作
り直した結果、ほとんどの人間がそれを受け入れるようになっている――とアーキテク
トはいうのです。
 そういう人間にフィットするマトリックスのバージョン6ができたのは、本来は人間
の精神を調査するために作られた直感プログラム/オラクルが役に立ったとアーキテク
トはいいます。そして、私がマトリックスの父であれば、オラクルは間違いなくマトリ
ックスの母であると。
 そして、アーキテクトは、ネオに究極の選択を迫るのです。右のドアを開ければ、人
類の救済にいたる道が開ける。左のドアを開ければトリニティーのところに行けるが、
人類は全滅する――ネオは何のためらいも見せず左のドアを開けて、トリニティーの救
出に向かうのです。
 その後のことは、現在上映中の第3章「レボリューション」を観るしかないのですが
、それ以上踏み込むとネタバレになるので今回の分析はここまでのことにします。いず
れ、「レボリューション」のDVDが発売された時点で、再びEJで取り上げてみたい
と思います。
 映画『マトリックス』については、9回にわたってお送りしました。全原稿量は40
0字詰め原稿用紙63枚――それだけ書いてもまだ書くことはたくさんあります。それ
ほど奥が深い映画ということがいえます。       −−[マトリックス/09]

アーキテクトとの対話
posted by 管理者 at 00:00| Comment(1) | TrackBack(0) | マトリックス | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
初めまして、興味深く拝読いたしました。
私も、この映画は奥が深く、宗教や思想を超え真理すら語ろうとしているのでは?とさえ思ったものです。

イエスは数々の奇跡を起こしたといわれます。ネオが現実世界でセンチネルを片手で止めたことは奇跡でしょうか。

観自在菩薩は舎利子に言います『色即是空・空即是色』と。「この世はバーチャルですよ、想念は現実化しますよ」。

続編はお書きにならないのでしょうか?
駄文、失礼いたしました。
Posted by arhan at 2008年01月13日 23:25
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