2010年06月02日

●テレサ・テンの死因についての小説(EJ第1630号)

 テレサ・テンにまつわる疑惑のなかで一番大きな疑惑は、やは
り、その死因ということになると思います。テレサ・テンの死因
は「喘息の悪化による呼吸不全」となっていますが、42歳の若
さであり、それがあまりにも突然なことであったために疑惑がふ
くらんだのです。
 ここに一冊の本があります。発刊されたのは、2004年12
月30日です。明らかにテレサ・テンの死後10周年を意識して
の発刊と思われます。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
    『何日君再来/ホーリーチュンツァイライ』
     ―いつの日きみ帰る/ある大スターの死−
      平路【著】 池上貞子【訳】 風涛社刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 このタイトルを見ると、誰でもこれがテレサ・テンのことを書
いていることはわかります。確かに本に書かれていることは、テ
レサ・テンのことそのものであり、それも彼女の死の原因に絞ら
れているのです。しかし、本のなかには「テレサ・テン」とは一
語も書かれていないのです。
 平路(ピン・ルー)は、1953年に台湾の高雄で生まれた女性
作家です。父親は山東省出身の外省人であり、境遇はテレサ・テ
ンと似ています。一応この本は「小説」というスタイルをとって
います。もう少し正確にいえば、テレサ・テンという大歌手の死
を題材とするミステリータッチの小説というべきでしょう。
 しかし、私の読んだ限りでは、小説というかたちをとっている
ドキュメンタリーという感じです。この本の訳者の池上貞子氏は
本書の構成について次のように述べています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  本書『何日君再来』は、テレサ・テンの死のなぞについて、
 彼女についていた監視(スパイ)が、親しい上司へ推測を入れて
 報告するという設定で、所々に真偽の不確かなテレサ本人の手
 記と称する文章が入っているという設定だ。これは、男と女の
 言葉(文章)が入り乱れて放たれているという点では前作の『行
 道天涯』(邦題『天の涯までも――小説・孫文と宋慶齢』)と同
 じ手法であり、着眼点も表向きは華やかさや権威に包まれ、ス
 ポットライトを浴びた人の、活躍の場を失った後の女性として
 の孤独や寂しさなどにある。   ――池上貞子氏のあとがき
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ちなみに「彼女についていた監視(スパイ)」というのは、本を
読む限り台湾当局の監視員であるようです。本当にテレサ・テン
はこのようにつねに国から監視されていたのでしょうか。
 この本の著者である平路は、その冒頭でテレサ・テンの死には
次の3つの疑問点があるといっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  第1の疑問点:フランス人の男のアリバイが疑わしいこと
  第2の疑問点:遺体の首には、小さな針の穴があったこと
  第3の疑問点:テレサ・テンのパスポートについての疑惑
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「フランス人」というのは、もちろんステファンのことです。
彼の本名はステファン・ピュエールというのですが、本書のなか
では「ピュエル」と本名が使われています。著者は、暗に「ステ
ファンがテレサ・テンの死にかかわっている」ことを強調してい
るような感じです。
 これらの3つの疑問点については、ここで改めて繰り返すこと
はしませんが、この本を読んでわかることは、テレサ・テンとス
テファンの人間関係は相当ひどい状態になっていたことが鮮明に
わかるのです。もちろん、本の内容が真実であるという保証はあ
りませんが、他の情報源と照らしてみてもそういう状態になって
いても不思議ではないのです。
 いくつかの記述をひろってみることにします。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 わたしはいつも彼女に「あの人を門口で待たしていていいんで
 すか」と言っていたのですが、彼女は全然気にしないで「ほっ
 とけばいいのよ、あんな人」と言っていました。
                  /ビデオ屋のおかみさん
 その後、物音が聞こえました。男性客がドアをたたいていて、
 キーを使っても開けられませんでしたから、おそらく、中から
 ロックしていたのでしょう。男性客は口汚くののしっていまし
 た。英語のスラングのようなものです。靴の先で荒々しくドア
 を蹴っていました。しばらく大騒ぎをしたあと、男性客はまた
 エレベータに乗り込んでいきました。
                    /最上階のフロア係
 ピュエルのあとについているとき、彼女は自分がしょっちゅう
 緊張していることに気がついた。あんた、自分がどんな罪を犯
 しているか、知っているの?彼女はピュエルに目配せし、そっ
 と壁に貼られた告示を指し示す。
 <麻薬は死刑、銃殺刑に値する罪である>
     ――『何日君再来/ホーリーチュンツァイライ』より
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 この記述を読むと、チェンマイでもテレサ・テンとステファン
はよく喧嘩して、部屋に鍵をかけてステファンを入れなかったり
していた様子がよくわかります。それもステファンが大麻をやっ
ていることをテレサ・テンは知っていて、そのことを巡っていつ
も喧嘩をしていたのではないかと思われます。
 『何日君再来』――ちょっと変わった小説です。テレサ・テン
の死について関心のある人は読む価値があると思います。さて、
6月6日から7月8日まで、25回にわたって続けてきたテレサ
・テンのテーマ――いかがでしたでしょうか。
 『何日君再来』という歌については書いてみたいことが残って
います。しかし、それは改めて取り上げるとして、明日からは新
しいテーマを取り上げます。ご愛読感謝いたします。
               ・・・[テレサ・テン/25]


≪画像および関連情報≫
 ・『何日君再来/ホーリーチュンツァイライ』風涛社刊
  平路(ピン・ルー)/略歴
  本名は路平。1953年台湾高尾生まれ。台湾大学心理学部
  卒業後、アメリカに渡り、アイオワ大学で統計学の修士号を
  とり、しばらく働きながら創作活動を行う。1994年に正
  式に台湾に戻り、執筆活動に励む。著書に『玉米田之死』、
  『何日君再来』ほか多数

ある大スターの死.jpg
ある大スターの死


posted by 管理者 at 03:00| Comment(2) | TrackBack(0) | テレサ・テン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
「テレサ・テン研究」をしています。今までで最も感動したサイトです。
日本以外(特に台湾)のテレサ・テンの仕事をYouTubeで収集し、改めてその歌唱力とタレントとしての能力の高さに驚いています。私はテレサ・テンが『今夜かしら明日かしら』を歌っていた頃、フジテレビのスタッフとして2回お話した事があります。くだらない話をしているのに、自分が日本語が上手くない事で私に不愉快な思いをさせない様に気遣いをしてくれる素晴らしい人格者でした。これからもYouTubeやサイトでの「テレサ・テン研究」を続けます。
日本の人達に正しい認識を持ってほしくて私のYouTubeの再生リストの説明に
http://intec-j.seesaa.net/category/7970254-1.html
のアドレスと引用文を勝手に紹介させて頂きました事をお許しください。
http://www.youtube.com/watch?v=WddBwv3Dkb4
Posted by 岩本猛 at 2012年03月15日 12:00
Facebook始めました。Teresa Tengの紹介が殆どです。
http://www.facebook.com/takeshi.iwamoto.921?ref=tn_tnmn

下記の文章でこちらの紹介をさせて頂きました。
-------------------------------------------
麻薬、エイズ、スパイ疑惑を受けたテレサの真実が解ります。
Here is a site that I was impressed the most.
There is an article about the correct coverage Teresa Teng.
I pray that there is in English.
http://intec-j.seesaa.net/category/7970254-1.html
Posted by 岩本猛 at 2012年09月17日 19:39
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。