2010年05月17日

●政治的に利用されるテレサ・テン(EJ第1618号)

 ここで、テン・シャオピン(トウ小平)が実施した4つのキャ
ンペーンについて述べておきます。
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 1.「五講四美」キャンペーン    ・・・ 1981年
 2.「三熱愛」キャンペーン     ・・・ 1983年
 3.「精神汚染一掃」キャンペーン  ・・・ 1983年
 4.「雷峰同志に学べ」キャンペーン ・・・ 1987年
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 「五講四美」というのは次の意味があります。参考までに上げ
ておきます。
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       I−礼儀       I− 心 の美
       I 道徳       I  行為の美
    五講−I 文明    四美−I
       I 衛生       I  言葉の美
       I−秩序       I− 環境の美
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 「三熱愛」とは、次のことを意味しています。
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        1.祖  国への愛
        2.社会主義への愛
        3.共産主義への愛
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 「精神汚染一掃」キャンペーンと「雷峰同志に学べ」キャンペ
ーンには、次の意味があります。
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 「精神汚染一掃」 キャンペーン
  ・革命精神を堕落させるものを追放するキャンペーン
 「雷峰同志に学べ」キャンペーン
  ・毛沢東思想を体現した人民解放軍兵士を見習う運動
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 これらのキャンペーンは、民主化を求める人々の望みを何とか
押さえ込もうとするテン・シャオピン率いる共産党政府の戦略な
のです。テレサ・テンの歌は「黄色歌曲」(ホワンスーグーチュ
ウ)として、禁止されることになったことは既に述べました。
 余談ですが、「黄色歌曲」という言葉について面白い話がある
のです。「黄色歌曲」とは「エロチックな歌」という意味なので
すが、「黄色」ということばにはそういう意味はないのです。
中国には、「黄河」「黄帝」「黄塵」など、「黄」の付く字が
いろいろありますが、いずれも「エロチック」という意味には結
びつかないのです。これについて平野久美子氏は英語の「イエロ
ー」と「エロ」とを結びつけたのではないかといっています。
 しかし、1986年、フー・ヤオパン総書記はテレサ・テンの
名誉回復を発表しています。これによって「何日君再来」の歌も
売国歌から愛国歌へと評価が180度変わることになるのです。
 実はテレサ・テンを解禁しようとする大陸の動きは、1985
年に入るとはっきりとした動きをとるようになっていたのです。
その最初の動きは台北の中華体育館で行われた十五周年記念コン
サートの映像が大陸でテレビ放映されたことです。
 それからもうひとつ、1985年2月1日に『中国青年報』に
掲載されたテレサ・テンの肉声のインタビュー記事です。『中国
青年報』というのは、中国共産主義青年団中央委員会の全国機関
紙です。インタピューをやったのは、関鍵(グワン・ジエン)と
いう記者です。
 このインタビューは、1985年1月30日、午前0時12分
から53分間にわたって電話で行われています。そのとき、テレ
サ・テンは、シンガポールにある自宅にいたのです。
 実はそれに先立って、共産主義青年団北京市委員会の機関紙で
ある『北京青年報』に次の記事が掲載されていたのです。85年
1月20日のことです。
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  「故郷は黄河古道のほとり――テレサ・テン故郷訪問記」
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 これは、河北省大名県にはテレサ・テンの父が生まれ育った家
屋が残っており、『北京青年報』の記者がテレサ・テンの2人の
叔母に会ってまとめた記事なのですが、テレサ・テンはそれを読
んでいたのです。
 ところで1月29日はテレサ・テンの誕生日であり、関鍵記者
はその日を狙って北京からシンガポールのテレサ・テンの自宅に
電話をかけているのです。
 『中国青年報』の記事の中で、彼女は大陸について次のように
語っているのです。
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 中国を立派に建設することは、海外に住む華僑と海峡を挟んで
 両岸に住む中国人の共通の願いです。海外に住む中国人はみな
 内地の建設に大きな関心を持っています。どの国にいようとも
 中国に関する話題はいつも熱いのですよ。わたしは香港で見た
 報道で、内地ではいま現代化と<文明礼貌>(社会マナーの向
 上)、それに国家建設を提唱していると聞きましたが、本当に
 素晴らしいですね。           ――テレサ・テン
  ――有田芳生著、『私の家は山の向こう』より 文藝春秋刊
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 この記事は大きな波紋を広げます。新華社と肩を並べる中新社
(中国新聞社)は「テレサ・テン/シンガポールで北京と国際電
話」と題する記事を掲載したほか、100社を超える新聞がこれ
をニュースとして報道したのです。
 困惑したのは台湾の政治家やメディアなのです。そして、この
事態になって、テレサ・テンははじめて自分が政治的に利用され
ていることに気が付いたのです。そして、この件に関しては、そ
の後、一切語ることはなかったといわれます。
               ・・・[テレサ・テン/13]

≪画像および関連情報≫
 ・中新社は、紙上で関鍵記者が紙面の都合でカットしたテレサ
  ・テンの次のコメントを掲載しています。テレサ・テンは政
   治的に利用されたのです。
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
   こんなに多くのファンの青年たちがいらっしゃるというこ
   とに大変感激しています。機会があれば大陸に行きたいし
   青年たちのためのコンサートもやりたい。私の願いです。
                     ――テレサ・テン
    有田芳生著、『私の家は山の向こう』より 文藝春秋刊
   −−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

テン・シャオピン.jpg
テン・シャオピン


posted by 管理者 at 03:00| Comment(0) | TrackBack(0) | テレサ・テン | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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