2009年01月27日

●ヒラム・アビフはヤコブではないか(EJ第1882号)

 11月4日から続けてきた「秘密結社の謎と真相/フリーメー
ソンの起源をめぐって」は56回の本日をもって終了します。最
後に、EJ第1879号の第4の疑問について検討をしたいと思
います。
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 4.メーソンリーの儀礼の中に登場するヒラム・アビフの正体
   はいったい何なのか。
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 ヒラム・アビフ――この人物については今まで何度も書いてい
ます。EJ第1875号では、ヒラム・アビフは実際の名前では
なく、「失われた王」という意味であり、命をかけて王位継承の
秘儀を守った古代エジプトのセクエンエンラ2世を象徴したもの
――そういう説明をしています。
 これは、クリストファ・ナイトとロバート・ロマスによる推論
ですが、何か今ひとつ納得できないのです。しかし、ヒラム・ア
ビフについて、その正体にここまで迫ったのは私の知る限りナイ
ト/ロマスしかいないのです。
 しかし、彼らの著書『封印のイエス』を精読すると、彼らはヒ
ラム・アビフについて、もうひとつの可能性に言及していること
がわかったのです。
 それはヤコブの死なのです。ヤコブといっても新約聖書には数
人のヤコブが登場しますが、ここでいうヤコブは、ナザレのイエ
スの兄弟のヤコブのことであり、エルサレムにおける初期キリス
ト教団の指導者とされる人物です。
 このヤコブとイエスとの関係ですが、例の2本の柱と密接な関
係があります。
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       ポアズ ・・・ 王 権 イエス
       ヤキン ・・・ 祭司権 ヤコブ
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 ここでは初期キリスト教団と表現しましたが、ユダヤ教のナザ
レ派ともいわれます。というのは、そこにポアズとヤキンの柱や
ダビデの星がからんでくるからです。
 ダビデの星は、現在のイスラエルの国旗になっており、誰でも
ユダヤに関係すると思われていますが、本来はユダヤとは何の関
係もない次の2つの三角形を組み合わせたものなのです。
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    上向きの三角形 ・・・ 王 権(ポアズ)
    下向きの三角形 ・・・ 祭司権(ヤキン)
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 これはダビデの星といわれますが、別にダビデが発明したわけ
ではなく、古代ヘブライの文書にこのシンボルはまったく登場し
ないのです。このシンボルが一般に登場するのは中世のキリスト
教会であり、そのルーツは初期キリスト教団なのです。その最古
の例がテンプル騎士団の建物なのです。
 実はイエスは、ヤコブと共にクムラン宗団の中の傑出した存在
――文字通りの2本柱であったわけです。彼らはナザレ教徒とも
いわれるのです。これは初期キリスト教団そのものです。
 しかし、イエスが伝道をしていたのはたったの1年間だったの
です。そのあと長期にわたって初期キリスト教を支えたのはヤコ
ブだったのです。
 イエスは洗礼者ヨハネが殺されて危機感を持ちます。そして、
ローマ帝国に対して一大政治闘争を仕掛けようとするのです。ク
ムラン宗団の人々は、そういうイエスについていけなかったので
す。イエスとしては、時が自分に味方をしていないことを知って
いましたが、そうせざるを得ないと感じて行動を起こすのです。
 イエスは5人の親衛隊を組んで活動をはじめます。「雷の子」
といわれたヤコブとヨハネ、熱心党のシモンとペテロ、それにユ
ダの5人です。律法を破って信者を増やそうとしたり、エルサレ
ムの神殿では大暴れを演じたのです。この頃のイエスは多くの映
画でも描かれています。
 ローマ帝国としては、イエスのメシア運動を放置することはで
きず、首謀者である過激派セクトの2本の柱――イエスとヤコブ
を逮捕するのです。しかし、ローマ帝国のユダヤ総督のピラトは
イエスとヤコブの2人を処刑してしまうと、怒り狂った民衆が暴
徒と化すことを恐れて一計を案ずるのです。
 そこでピラトは「過ぎ越しの祭りの日」には恩赦を行う習慣を
利用して、イエスかヤコブのどちらかを放免してやると民衆に判
断を委ねたのです。
 民衆が選んだのはヤコブだったのです。その結果、ユダヤの王
イエスは有罪となって磔刑に処せられたのです。結局生き残った
のはヤコブだったのです。そしてこのヤコブがイエス亡き後のク
ムラン宗団――初期キリスト教団を支えるのです。
 ベルギーのゲント図書館にある「天上のエルサレム」(EJ第
1873号)にある2本の巨大な塔をともにヤコブと呼ぶのは、
イエス亡き後に、ヤコブが祭司権(ヤキン)と王権(ポアズ)と
いう2本の柱を支える存在になったことを意味しているのです。
 このヤコブは西暦62年に完成直前のソロモンの神殿において
殺されてしまうのです。致命傷は頭に加えられた棍棒による一撃
だったのです。奇しくもヒラム・アビフ――セクエンエンラ2世
の殺され方とまったく同じです。
 この事実から、ヤコブの殉教は、ソロモン王の第一神殿の設計
・監督者ヒラム・アビフ(セクエンエンラ2世)の死の再来とし
て、フリーメーソンリーの儀礼に取り入れられることになったと
いうわけです。
 ヤコブを失ったことによって民衆の怒りはすさまじく、遂に西
暦66年から70年にかけてユダヤ戦争が起こります。これによ
って、初期キリスト教団は全滅し、そこにはパウロを中心とする
新しいキリスト教が誕生するのです。そして、これが現在まで続
いているキリスト教なのです。 
       ・・・ [最終回/秘密結社のなぞを解く/56]


≪画像および関連情報≫
 ・フリーメーソンの儀礼より
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  フリーメーソンは道徳の美しい体系であり、アレゴリー(寓
  意)に包まれ、象徴によって説明される。その教養は兄弟愛
  救済、真理である。その枢要な徳は、節制・剛勇・慎重・正
  義である。それを宗教と呼ぶことができれば、この宗教は、
  「宇宙の偉大な建設者」を誠実に信ずることである。
         ――吉村正和著、『フリーメーソン』より。
                  講談社現代新書Y640
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ヤコブ像.jpg



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