ヒラム・アビフ――この名前を覚えておられるでしょうか。
5月24日のEJ第1841号で、ソロモンの神殿について書
いたときにご紹介しています。偉大なる王ソロモンは、古代ユダ
ヤ民族の唯一神「ヤハウェ」の神殿を建築しようとし、親交の深
いツロの王ヒラムに助力を求めたのです。
ややこしい話ですが、このツロの王ヒラム――ヒラム・アビフ
とは別人なのです。ヒラム・アビフとは、ヒラム王が当時高度な
建築技術を持っていたティルス(ツロの支配下にあった古代フェ
ニキアの海湾都市)の労働者3306人と一緒にエルサレムに派
遣した神殿建設の設計・総括管理者の名前なのです。
結論から先にいうと、このヒラム・アビブこそが最初のフリー
メーソンであるといわれているのです。
今まで何度も取り上げているナイト/ロマスの本には、次のよ
うな記述があるのです。
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メーソンリーの第3階級の儀式では、われわれを困惑させる人
物の名が言及される。それは「ソロモン王の神殿の完成の直前
に殺害された建築家の棟梁、ヒラム・アビフ」である。だが、
聖書のどこを見ても、ソロモン王の神殿を建造した建築家の名
は登場しない。(中略)ヘブライ語で「ヒラム」とは、「高貴
な」とか「王のような」を意味し、「アビフ」は古いフランス
語で「失われた者」を意味する。すなわち、この名は「失われ
た王」を意味するのである。
――クリストファー・ナイト/ロバート・ロマス著/
松田和也訳、『封印のイエス/「ヒラムの鍵」が解く
キリストのミステリー』
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つまり、ナイト/ロマスは、「ヒラム・アビフ」とは後世の人
物の発明によるものだといっているのです。彼らは、ヒラム・ア
ビフは殺害されており、そのため、名前に「失われた王」の意味
を込めて、後世にメッセージを伝えようとしたのではないかとい
っているのです。
既に見てきたように、ソロモンの神殿はあのテンプル騎士団と
も深い関係があり、そのいずれもフリーメーソンに結びついてく
るのです。そして、フリーメーソンの謎に迫るとき、避けて通れ
ないものがあるのです。それが「生命の樹」です。
「生命の樹」とは、旧約聖書の「創世記」(2章9節以降)に
出てくるエデンの園の中央に植えられている木のことです。もと
もとエデンの園にいたアダムとイブ――つまり、人間が、禁止命
令を無視して「智恵の樹」の実を食べてしまったので、生命の樹
も食べるのではないかと神は恐れて、人間をエデンの園から追放
したといわれているのです。
この生命の樹――具体的にいうと、ユダヤ教神秘主義「カッパ
ーラ(カバラ)」が創り出したものなのです。カッパーラの奥義
はきわめて深遠であり、簡単には説明できないのですが、その基
本中の基本といえる象徴が「生命の樹」なのです。これには、カ
ッパーラのすべてが凝縮されているのです。
「生命の樹」には3つの柱があります。「柱」とは神を意味し
ているのです。
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1.「慈悲」の柱 ・・・ 御子イエス
2.「均衡」の柱 ・・・ 御父エロヒム
3.「峻厳」の柱 ・・・ 聖霊ルーハ
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実は、ギザの3大ピラミッド――これはそのまま3つの柱に当
てはまるのです。ここで「御父エロヒム」とは「聖書」の絶対神
ヤハウェのことであり、御父、御子、聖霊の3神が揃っているの
です。つまり、3人の神です。
この3神は、ギザの3大ピラミッドに対応します。すなわち、
中央の第2ピラミッドが「均衡」の柱で御父エロヒム、向って右
側の第1ピラミッドは、「慈悲」の柱で御子イエス・キリスト、
左側の第3ピラミッドは、「峻厳」の柱で聖霊ルーハというわけ
です。つまり、3大ピラミッドは、カッパーラの思想に基づいて
建設されているということになります。
つまり、3大ピラミッドは「生命の樹」であり、絶対3神の神
殿なのです。興味深いのは、3大ピラミッドそれぞれの中心部分
――玄室の天井の違いです。
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1.第1ピラミッド ・・・ 平 坦な天井
2.第2ピラミッド ・・・ 三角形の天井
3.第3ピラミッド ・・・ 半円形の天井
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とくに興味深いのは、第2ピラミッドの玄室が三角形であるこ
とです。「生命の樹」においては、中央の柱が高く、三角形の空
間ができるのです。これは絶対3神が形成する「至高世界」を意
味しているのです。つまり、ピラミッドのかたちそのものが、至
高世界の雛形になっているわけです。
問題は、第2ピラミッドの意味する「御父エロヒム」、すなわ
ち「ヤハウェ」と「御子イエス・キリスト」の関係です。かたち
から見れば、キリストはヤハウェの息子ということになりますが
「ヤハウェ」は神としてのキリスト、つまり、人間として受肉す
る以前のキリストのことであって、同じキリストのことを意味し
ているのです。
このカッパーラの奥義を一般の人間に公開した人がイエス・キ
リストなのです。イエスは「生命の樹」を解き明かし、この世に
は絶対3神がいること、そして自らが絶対神のひとりであるヤハ
ウェであることを公開したのです。
これがユダヤ教徒らの怒りを買って、イエス・キリストは十字
架刑に処せられることになるのです。「生命の樹」については、
明日考えましょう。 ・・・[秘密結社の謎を探る/29]
≪画像および関連情報≫
・『わたしはある』はヘブライ語で「ヤハウェ」
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『ヤハウェ』とは旧約聖書の絶対神の名前である。つまりは
ユダヤ教徒が崇拝する神、天地万物を創造したとされる唯一
絶対神である。しかし、ヤハウェと言われても、一般的な日
本人には馴染みのない名前であろう。というのは、日本語訳
の聖書では、ヤハウェという固有名詞を全て「主」という一
般名詞に読み替えているからだ。ゆえに、いくら聖書の中を
探したからとて、その名前を見つけることはできない。ちな
みに、新約聖書にも「主」という単語が出てくるが、あれは
ギリシア語の「キボトス」を訳したものであるため、ヤハウ
ェとは違い、純粋に「主」という意味の一般名詞である。神
はモーセに「わたしはある。わたしはあるという者だ」と言
われ、また、「イスラエルの人々にこう言うがよい。『わた
しはある』という方が、わたしをあなたたちに遣わされたの
だと。http://www.fitweb.or.jp/~entity/seisho/yhwh.html
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2008年12月15日
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