2008年12月09日

●王位継承の秘儀と秘密結社(EJ第1851号)

 エジプトでは、人が死ぬと42の神々の前で、罪の否定告白を
しなければならないのです。それが終わると死者の審判が行われ
るのです。
 そのさい、秤にかけられるのが死者の心臓と「マアト」といわ
れるものです。マアトとは、ダチョウの羽根のことであり、エジ
プトの絵画に描かれている、この羽根を頭につけた女性が女神マ
アトなのです。マウトは古代エジプトの正義と真実の女神であり
太陽神ラーの娘とされています。
 さて、罪の否定告白において、そのいっていることが正しいと
秤は釣り合い、死者は無罪となり、永遠の命を手に入れて冥界の
住人になります。もし、釣り合わない――つまり、心臓の方が重
いと、ワニに似た怪物にその心臓を食べられてしまい、二度と復
活できなくなってしまうのです。ミイラを作るとき、4つの内蔵
(小腸、胃、肝臓、肺)をカノポス壺に納めるのに、心臓だけミ
イラの中に残しておくのはこのためです。
 このように、マアトは裁判で正義を判定する道具として使われ
正義、真実、公平を意味しているのです。ナイト/ロマスの『封
印のイエス』には次のように書いてあります。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 エジプトの特色は、秩序への欲求である。エジプトの宗教は単
 なる倫理的満足ではなく、正義こそが秩序の基盤であるという
 考えであった。「マアト」という観念は単なる公正ではない。
 もともとこの語は、ちょうど神殿の平面図のように、水平で秩
 序ある左右対称のものを指す言葉であった。のちにそれは正義
 真実、公平を指す言葉となった。
     ――クリストファー・ナイト/ロバート・ロマス著/
     松田和也訳、『封印のイエス/「ヒラムの鍵」が解く
                  キリストのミステリー』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 少し話が難しくなって恐縮ですが、自らフリーメーソンと名乗
るナイト/ロマスによると、これほど簡潔にメーソンリーを叙述
した一文はないといいます。メーソンリーとは、友愛と相互扶助
と真実に基づく道徳の体系であるといえます。
 エジプトにおけるマアトの観念は、宗教というよりも、惑星の
運行から日常生活にいたる、あらゆる「正しさ」を表わす観念で
あって、法律の基礎となったのです。それはマアトが死者の裁き
で公正の基準として使われることからもいうことができます。
 そういう人類の思考と自然の調和――人々がマアトにしたがっ
て生きれば、神はナイルの恵みをもたらしてくれるが、もし、そ
のバランスが崩れれば、それは王と国民の責任である――このよ
うに考えたのです。
 このように万物に秩序と調和を求めるのは、フリーメーソンの
中心課題であり、その根本観念において、エジプトのマアトとメ
ーソンは一致する点が少なくないのです。それでは、エジプトの
観念とメーソンのそれはどちらが先なのでしょうか。
 残念ながら、それをはっきりと決める証拠はないのです。しか
し、マウトと同様にメーソンリーは宗教ではなく、両者ともに最
終的には、その象徴に「建築」を求めるのです。ナイト/ロマス
がいっているように、「マウトとは、ちょうど神殿の平面図のよ
うに、水平で秩序ある左右対称のものを指す言葉である」という
ように、建築と結びついているのです。
 エジプトでは、王が死ぬと、その瞬間にその息子はホルス――
すなわち、王になったのです。それは「死と再生(復活)」を意
味しており、そのために秘密の儀式が行われます。なぜ、そのよ
うな儀式をするのでしょうか。
 王が死んで次の王に代わる――これは国家にとって最も危険な
ときなのです。それは反乱の絶好機であるからです。そのために
王は神であってエジプトの霊統を直接受け継ぐものであることを
示す必要があったのです。この儀式は昔から口頭で伝承され、外
に漏らすことは禁止されたのです。
 ナイト/ロマスは、エジプトのこの秘儀について、『封印のイ
エス』で次のようにかなり具体的に書いています。少し長いです
が、重要なことなので、ご紹介します。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
  王位継承の秘儀の中核となる最も重要な部分は、新王候補者
 が星の世界へと旅立ち、そこで神々の社会の一員と認められて
 ホルスとなり、死んだ王――すなわち新たなオシリス――から
 霊的な冠を授けられる、という一連の儀礼である。
  そしてこのとき、古い王と新たな王はともにオリオン座に旅
 立ち、ひとりはその天上の住まいに残り、もうひとりは地上の
 王国に帰還することになる。
  新たな王は、王家の秘密を守る中心グループに属する司祭長
 が処方したある薬品によって「死ぬ」。この薬は緩慢な硬直状
 態を起こす幻覚剤である。これによって新王候補者はあたかも
 死体のようになってしまう。
  世が明け、薬の効果が切れると、候補者は新たなホルスとな
 り、神々の世界から戻ってくる。この処方は厳密に計算され、
 明けの明星が地平線上に昇る、まさにそのときに王が意識を取
 り戻すようになっていた。
     ――クリストファー・ナイト/ロバート・ロマス著/
     松田和也訳、『封印のイエス/「ヒラムの鍵」が解く
                  キリストのミステリー』
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 ここまでやられたら、もはや王に歯向かうものはいなくなりま
す。それは神に逆らうことになるからです。したがって、この儀
式は重要であり、秘密は厳重に守られなければならないのです。
 こういう重要な秘密を長年にわたって守っていくには、通常の
世界とは切り離された特殊な集団――すなわち秘密結社が必要と
なったのです。初期キリスト教、エジプトの秘教、そしてメーソ
ン――そこには密接な関係があります。
            ・・・[秘密結社の謎を探る/25]


≪画像および関連情報≫
 ・オシリスとホルス
  「オシリス」
  冥界の支配者。両手には王権の象徴である王笏を持つ、足は
  ミイラのように束ねられている。オシリス神話ではイシスの
  夫であり、ホルスの父である。身体の色は再生復活を意味す
  る緑の色に塗られた。人間は死ぬとオシリス神になって復活
  すると考えられていた。
  「ホルス」
  両眼が月と太陽である天空の神。ハヤブサあるいはハヤブサ
  頭を持つ人物の姿であらわされた。国王は、第1王朝の時代
  からホルス神の化身であると考えられていた。ホルス神をの
  せたセレクと呼ばれる宮殿を模した長方形の枠の中に、王の
  ホルス名が書かれた。
  http://www.roy.hi-ho.ne.jp/mizuchi/Egypt/kamigami/osiris.htm

マアト女神/死者の裁き.jpg


posted by 管理者 at 03:27| Comment(0) | TrackBack(0) | 秘密結社の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス: [必須入力]

ホームページアドレス: [必須入力]

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。