2008年12月04日

●教会はなぜ文書を隠したのか(EJ第1848号)

 再び今回のテーマを追求する本の話です。
 「ダヴィンチ・コード」の人気がいかに凄いかを実感させられ
る出来事がありました。実は、ダン・ブラウンの種本のひとつで
ある『レンヌ・ル・シャトーの謎/イエスの血脈と聖杯伝説』を
池袋のジュンク堂に探しに行ったときのことです。
 現在、ほとんどの書店では特設コーナーを設けて、ダン・ブラ
ウンの「ダヴィンチ・コード」と何種類かの謎解き本を積み上げ
ています。しかし、「ダヴィンチ・コード」の最大の謎解き本は
ベイジェント/リーによる『レンヌ・ル・シャトーの謎/イエス
の血脈と聖杯伝説』なのです。
 しかし、肝心のこの本はそういうコーナーには置かれていない
のです。これは、書店のマネジャー自身がこのテーマに関心がな
いか、このテーマをよく研究していないかのどちらかです。なぜ
なら、この本こそこの特設コーナーに置いておけば、必ず売れる
本だからです。
 おそらくほとんどの書店ではこの本を在庫として持っていない
でしょう。しかし、ジュンク堂は本の揃え方に関しては定評のあ
る書店であり、必ずあると考えたので見に行ったのです。案の定
店員に『レンヌ・シャトー・・・』といったとたんに、すぐ本の
ある場所を教えてくれたのです。これでいかに「ダヴィンチ・コ
ード」の関心が高いかがわかったのです。
 この本は5000円を超える価格の高価な本であり、何とか図
書館でと考えたのですが、本はあったものの、何と10人以上も
予約が入っている始末です。さすがに知っている人は知っている
ものと感心したしだいです。
 しかし、そのとき目的の本のそばに並んでいたのが、次の書籍
です。2006年5月25日第一刷とありますので、出たばかり
の本です。これも500ページを超える大書ですが、手に入れる
ことができました。これは大変な収穫だったと思います。普通な
ら売れない本ですが、「ダヴィンチ・コード」が流行っているの
で、こういうが出版されるのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 マイケル・ベイジェント/リチャード・リー共著
 『テンプル騎士団とフリーメーソン/アメリカ建国に到る西欧
 秘儀結社の知られざる系譜』           三交社刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 「ダヴィンチ・コード」がこれほどのブームになったことにつ
いて、エレーヌ・ベイゲルスという歴史学者は、インタビューに
答えて、次のようにいっています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 わたしたちにとってダン・ブラウンの本が興味深いのは、きわ
 めて重大な問いを投げかけているからです。もし彼らが――つ
 まり、教会の指導者たちが――キリスト教初期の歴史の大部分
 を隠蔽したというなら、わたしたちは何を知らないのでしょう
 か。何を知るべきなのでしょうか。その答は非常に大きな意味
 を持っており、わたしは歴史学者として、これはとても大事な
 問いだと考えています。
         ――ダン・バーンスタイン著/沖田樹梨亜訳
       『ダ・ヴィンチ・コードの真実』より 竹書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 イエスについて書かれた記録で一番古いものは、イエスの死か
ら20年もあとに書かれた手紙なのです。続いて古いのは新約聖
書の福音書ですが、これはイエスの死から40年〜70年も経過
しているのです。
 したがって、ナグ・ハマディ文書のように初期のキリスト教に
ついて知る手かがりになるものは貴重なのです。もし、教会がそ
れらの文書を隠蔽したとすれば、そこに都合の悪いことが書かれ
ていたということになります。
 ナグ・ハマディ文書――すなわち、グノーシス福音書では「復
活」については次のように書かれているのです。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 通常の人間は霊的には死の状態にあるが、修行によって霊的な
 啓明を得ると、その瞬間に復活が起こり、真の意味で生きてい
 る状態になる。             ――ピリポ福音書
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 こういう解釈は、難しくなるので踏み込むことは控えますが、
現在まで伝承されている復活の概念とは、大きな差があるといえ
ます。それにこの「霊的な復活」という考え方はフリーメーソン
に非常に近い考え方なのです。
 前述の歴史学者、エレーヌ・ベイゲルスはこれに関連して次の
ように述べています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 マクダラのマリアによる福音書には、あなた自身のなかに人の
 子を見出しなさいと記されています。言い換えれば、自分自身
 のなかに神を探しなさいということです。どちらかといえば仏
 教の教えに似ていますね。もちろん司祭たちから見れば異端で
 す。彼らに言わせれば、神へと近づく唯一の道は教会を通して
 見つけるべきなのですから。
         ――ダン・バーンスタイン著/沖田樹梨亜訳
       『ダ・ヴィンチ・コードの真実』より 竹書房刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 自分自身の中に神を見出す――そのためには修行が必要になり
ますが、精進によってそれは可能になると、グノーシス福音書は
説いているのです。この考え方においては、教会や司祭はいらな
くなってしまいます。ローマ・カトリック教会が異端として弾圧
したのは当然でしょう。
 興味深いことは、マクダラのマリアがイエスの単なる同行者で
はなく、重要な弟子としてみなされていたということです。ダン
・ブラウンの本によって、このような問題が提示された波紋は小
さくないと考えます。  ・・・[秘密結社の謎を探る/22]


≪画像および関連情報≫
 ・ナグ・ハマディ文書とは何か
  ナグ・ハマディ文書とは、1945年にエジプトで発見され
  た13巻からなるコデックス(冊子本)形態による写本(古
  文書)。エジプトのナグ・ハマディ村(古代の名はケノボス
  キオン。アスワンから北東約225キロメートルに位置する
  小村)に近いジャバル・アッターリフの土中から発見された
  ため、この名がある。従来、原典に乏しく謎が多かったグノ
  ―シス主義思想の解明に大きく貢献した。
                    ――ウィキペディア

「ダヴィンチ・コード」の秘密に迫る本.jpg


posted by 管理者 at 04:32| Comment(1) | TrackBack(0) | 秘密結社の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
私もグノーシス派の思想に興味を持っています。旧約聖書の神を否定し霊魂の存在を認めている点は今のキリスト教の教えとは根本から違っています。聖書は捏造されてきたことは確かなのでしょう。私のブログに、その辺の見解を書いていますので参考にしていただければ幸いです。
Posted by 阿部徹 at 2008年12月11日 07:39
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