2008年11月20日

●SNSも一種の秘密結社である(EJ第1839号)

 ここで「秘密結社」そのものについて、考えてみることにしま
す。秘密結社というと、何となく秘密的な、陰謀的な、神秘的な
おどろおどろしいイメージがありますが、よく考えてみると、こ
の世の中は秘密結社だらけなのです。
 秘密結社の定義とか分類という話になると、必ず出てくるある
名前があります。それは、セルジュ・ユタンという人物です。彼
は、秘密結社を次の2つに分けています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
         1.政治的秘密結社
         2.入社的秘密結社
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 「政治的秘密結社」とは、国王や政府を倒すという政治的目的
を持った結社であり、その目的ゆえにその存在は秘密とされ、メ
ンバーの名前も秘密にされます。
 フランス革命のさいのジャコバン・クラブやロシア革命の時の
ボリシェヴィキは、政治的秘密結社といえます。これらの秘密結
社は、その政治的目的が達成されると結社は閉じられるのです。
 「入社的秘密結社」とは、「入社式/イニシエーション」が重
要な意味を持ちます。入社式を通ってメンバーになることが大事
なのです。そして、最初の入社式を通ると、さらに上の段階への
入社式があり、その階段を一段一段上がっていくことに意義があ
るのです。フリーメーソンはその典型です。
 セルジュ・ユタンによると、入社式秘密結社では、とくに迫害
されていなければその存在は隠されておらず、入社儀式だけが非
公開であり、秘密に行われるだけであるとしています。
 ところで、セルジュ・ユタンというと、あのノストラダムスの
予言集の編集を行った人です。『ノストラダムスの大予言』の著
者、五島勉氏は、同書のなかで、セルジュ・ユタンを次のように
紹介しています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 セルジュ・ユタンというのは、ソルボンヌ大学出身、やはりユ
 ダヤ系フランス人のすぐれた神秘哲学者である。〔中略〕ノス
 トラダムス研究家としても、表面に出ている人としては、本場
 の第一人者。詩の解釈をつづけるかたわら、フランス各地に埋
 もれたノストラダムスの原本・異本を掘り起こし、正確な編集
 をしてきたことで知られている。
  ――五島 勉著、「ノストラダムスの大予言X」、祥伝社刊
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 さて、ユタンの秘密結社の分類ですが、「政治」と「入社」と
対比してみると、政治は「目的」であり、入社は「方法」であっ
て対立項になっていない――これでは区分する共通基準になって
いないというのが、陰謀作家と称される海野弘氏の主張です。
 それならばどのように分類すべきでしょうか。
 海野弘氏の所説をご紹介しましょう。添付ファイルの図をご覧
ください。
 まず、縦軸の両極に「秘密」と「公開」があります。秘密結社
の秘密のレベルにはいろいろあるので、縦軸にそのレベルをとっ
ています。次に横軸の両極、すなわち左右――「私」と「われわ
れ」を配置しています。「私」とは個人、内的、精神世界であり
「われわれ」は社会、外的、現実世界をあらわします。
 これら縦軸、横軸によって4つの面が形成されます。4つの面
のそれぞれについて考えます。
 「T」は個人的な精神世界であり、秘密性が高いのです。秘密
の宗教カルトなどはこれに属するのです。なお、秘密――シーク
レット(secret)の「sec-」は「分離し、隠す」という意味です。
 「sec-」は「sect/セクト」につながってきますが、これは分
派――とくに宗教的分派の意です。なお、宗教的分派は「cult/
カルト」と呼ばれることもあります。
 「U」は私的な内的世界ですが、秘密性はなくオープンです。
芸術や学問のグループなどはこれに属します。もっとも作品――
成果は発表され、誰でも見ることはできますが、その創造プロセ
スは必ずしもオープンというわけではありません。
 「V」は、オープンで、社会的な団体・組織をあらわしていま
す。協会とか組合といった一般的な集団のほとんどはこれに属す
るといってよいと思います。
 「W」は、社会的、政治的で、きわめて秘密性が強いのです。
一般的な秘密結社という場合は、ほとんど「W」を指していると
考えて間違いがないでしょう。イルミナティやフリーメーソンな
ども「W」に属します。
 現代は「秘密結社ブーム」といわれています。個人的興味が多
様化している時代といわれています。その典型的なものに、最近
大流行の「SNS/ソシャール・ネットワーキング・サービス」
があります。
 SNSは、その存在は告知されていますので、秘密性は薄いと
いえます。そういう意味では「V」ですが、SNSは入会に関し
ては閉じており、会員である人の推薦メールがないと入れないの
です。そこに多少の秘密性があります。そして入会してからは個
人的な付き合いの世界であり、「U」の世界であるといえます。
 海野弘氏は、現代においてなぜ秘密結社が流行しているのかに
ついて次のように述べています。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
 秘密結社は共通の認識の危機からあらわれる。常識は分裂し、
 バラバラになり、分離する。私たちは社会へのつながりを失っ
 て、小さなグループに逃避しようとする。現代社会において、
 「秘密」はどのようなものになっているだろうか。現代の二つ
 の傾向が「秘密」を形成していると思われる。一つは「ビジュ
 アル・カルチャー(視覚文化)であり、もう一つは「インター
 ネット」である。  ――海野弘著、『秘密結社の世界史』/
                     平凡新書/315
−−−−−−−−−−−−−−− [秘密結社の謎を解く/13]


≪画像および関連情報≫
 ・海野弘著、『秘密結社の世界史』/平凡新書/315
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  人はなぜ“秘密結社”に魅せられるのか?ヴィジュアル・カ
  ルチャー、インターネットの発達によって、見える表面と見
  えない背後の二重化が進んだ現代では、物事の背後にある秘
  密を垣間見たいという欲望が高まっている。古代密儀、テン
  プル騎士団、薔薇十字団、フリーメーソン、イルミナティ、
  KKK、ナチス、カルト、マフィア。古代から中世、近代、
  二十世紀、現代に至るまで秘密結社という「隠された視点」
  から世界史を読み直す。
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海野 弘氏の秘密結社分類図.jpg
海野 弘氏の秘密結社分類図



posted by 管理者 at 05:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 秘密結社の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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