2008年11月12日

●PNACとブッシュ現政権(EJ第1833号)

 ここまでは、ロックフェラー財閥対ロスチャイルド財閥の構図
で米クリントン政権を分析してきましたが、現在の米国はこの2
つの財閥――秘密結社の対決構図だけで説明できるほど、単純で
はないのです。
 現ブッシュ政権は、米財界保守本流の政権ですが、この政権は
PNACというグループ――Pはプロジェクトの意ですが、一時
的な特定目的の集団ではなく一種のサークル的な秘密結社である
――このグループを抜きにしては語れないのです。PNACとは
次の頭文字を取った略語です。
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    PNAC = 新アメリカの世紀プロジェクト
    Project for the New American Country
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 PNACは、1997年6月、 ウィリアム・クリストルとい
う人が設立した団体です。クリストルは有力保守系政治雑誌の編
集人ですが、ハーバート大学で博士号を取得し、ペンシルバニア
大学で教鞭を取っていたこともある秀才です。
 クリストルの父親は、「ネオコンサーバティブの父」と呼ばれ
るアーヴィング・クリストルという人です。このネオコンサーバ
ティブ――略して「ネオコン」=新保守主義と呼ばれています。
クリストルは、ブッシュ(父)政権下では、ダン・クゥエール副
大統領の首席補佐官を務めているのです。
 2001年1月にブッシュ政権が誕生すると、PNACのメン
バーが続々と政権入りしています。
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    ディック・チェイニー副大統領
    ドナルド・ラムズフェルド国防長官
    ポール・ウォルフォウィッツ国防副長官
    リチャード・パール国防政策委員長
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 現在、イラクの状況は米国にとって最悪といえるものです。あ
るとしていた大量破壊兵器は発見されず、戦争の大義というもの
がなくなっています。米兵の戦死者の数も多く、ブッシュ大統領
の支持率はドン底に落ち込んでいます。
 しかし、ブッシュ政権――というよりPNACとしては所期の
目的を果たしたと考えているでしょう。それは絶対に口に出して
はいえませんが、米国としては大きな脅威をひとつ取り除くこと
に成功したからです。
 ブッシュ大統領は就任直後の2月16日に、突如米英両軍の戦
闘爆撃機24機でイラクの首都バッダット近郊の同国軍対空防衛
司令部など5ヶ所を空爆しています。今にして思えば、ブッシュ
政権の姿勢をこれで見せつけたのです。「前のクリントン政権と
は違うぞ」という姿勢を誇示したのです。
 PNACが恐れていたのは実はイランやイラクではなく、中国
の台頭なのです。中国のイラクへの武器輸出は、1981年から
2001年の間に全体の18%に達していたのです。これにより
イラクへの兵器供給国として中国は、フランスを抜いてロシアに
次いで第2位になっているのです。
 さらに中国は、1990年代後半において、ミサイル技術、先
端レーダーシステム向け部品、神経ガス用の化学物質、さまざま
なミサイル関連のハイテク装置や巡航ミサイルなどをイラン、パ
キスタン、シリア、リビアに売却しているのです。
 中国としては要するに中東の石油が欲しいわけです。イラクの
フセイン大統領はそういう中国の足元を見て取引を持ちかけてい
るのです。したがって、PNACとしては、まず、イラクを攻撃
して中国の野望をくじく必要があると考えたのです。
 なぜ、そうしなければならないのか。PANACのウィリアム
・クリストルは、次のようにいっています。
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 そうしなれば、これから10年後には、我々はイラク、イラン
 北朝鮮、中国がそれぞれ核兵器でアメリカを攻撃できる能力を
 持った世界に住んでいることになるだろう。そしてその間に、
 我々は中国の攻撃から台湾を守らなければならないのかどうか
 の決断を迫られ、サダム・フセインが再びクウェートの石油を
 奪取しようという試みに直面することになる。
  ――菅原出著、「日本人が知らないホワイトハウスの内戦」
                       ビジネス社刊
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 このような中東への大量破壊兵器拡散を加速化させている中国
に対して、当時のクリントン政権は圧力をかけるどころか、「戦
略パートナー」と呼び、関係強化を図ろうとしていたのです。そ
れだけではないのです。クリントンはアーカンソー知事の時代に
大物華僑であるリッポーグループから不正献金受けたという疑惑
が取り沙汰されるなど、中国との間には黒い噂があるのです。
 このような優柔不断のクリントンと比べるとブッシュ現大統領
は、どちらかというとあまり評価の高くない大統領であるとされ
ているものの、どうやら実体はかなり違うようです。決してPN
ACの考え方に盲従せず、自分のペースで慎重にイラクへの決戦
の火蓋を切っています。
 目的は将来の禍根を絶つためにフセインの支配するイラクを潰
すこと――中国とことを構えるわけにはいかないので、近い将来
米国を攻撃してくる敵をひとつ減らすことが狙いなのです。イラ
クの後始末は大変ですが、ブッシュ大統領はその大事な仕事をや
り遂げたのです。
 レーガン政権のとき、ブッシュ・ジュニアは、当時国務長官を
していたジョージ・シュルツの自宅を訪ね、フーバー研究所のス
タッフと3時間半にわたり、国内経済から外交政策に関して議論
したことがあります。そのときシュルツをはじめフーバー研究所
の研究員はブッシュ・ジュニアの物事の本質を掴み取る速さに舌
をまいたというのです。 ・・・[秘密結社の謎を解く/07]


≪画像および関連情報≫
 ・PNACについて
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  「米帝国論」がワシントンで注目されている。震源地は、外
  交・安保問題の研究所「新アメリカの世紀プロジェクト」P
  NAC。5年前に発足した新参シンクタンクだが、ブッシュ
  政権の大物が深くかかわり、政策決定に及ぼす影響力は無視
  できない。イラクや中国に対する強硬策を求めるなど、政権
  の単独行動主義を思想的に下支えしている。(ワシントン=
  杉本宏)
  http://homepage.mac.com/ehara_gen/jealous_gay/pnac.html
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ブッシュ大統領.jpg
ブッシュ大統領


posted by 管理者 at 04:10| Comment(0) | TrackBack(0) | 秘密結社の謎を探る | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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