2008年08月18日

●火星を襲ったカタストロフィーの謎(EJ第1551号)

 ギリシャ神話における火星の神は「アレス」と呼ばれます。と
ころが、ローマ神話では「アレス」は「マルス」と呼ばれるので
す。英語で火星のことを「マーズ」というのは、この「マルス」
が語源であるからです。
 マルスは「軍神」と呼ばれ、恐れられるのですが、これは火星
の色が赤であるからです。真っ赤な色は血の雫を連想させ、火星
は不吉な星とされたのです。このことから、マルスは血を好む殺
戮と戦争の神を象徴するものとされたのです。
 しかし、不思議なことがあるのです。西暦前8〜9世紀におけ
る古代神話の世界において火星は軍神どころか何ら顕著な働きを
していなかったのです。つまり、火星は誰からも恐れられてはい
なかったのです。むしろ恐れられていたのは、輝くばかりの原始
大気を後ろにたなびかせて暴れまわっていた金星の神「アテネ」
だったのです。
 この「輝くばかりの原始大気を後ろにたなびかせて」という表
現は、金星が彗星であったことを暗示しています。金星は超楕円
軌道を描き、多くの惑星を危機に陥れていたからです。
 しかし、紀元前8〜9世紀以降、それまでおとなしかった火星
は軍神「マルス」に変貌し、暴れまわっていた金星は、愛と平和
の女神「ヴィーナス」へと変貌してしまったのです。それは、金
星が現在の円軌道、太陽系第2番惑星の地位を獲得したことと無
関係ではないでしょう。
 ヴェリコフスキーは神話をベースとして宇宙論を展開する――
このようにいうと、いかにも荒唐無稽に思えますが、もともと神
話は天空の神々の話――宇宙の惑星など――であり、宇宙の話な
のです。かつて宇宙で起こったことを神話として後世に伝えてい
るのです。
 そうであるとすると、おとなしかった火星の神が不気味な軍神
「マルス」となり、暴れ者であった金星の神「アテネ」がおとな
しくなったという神話は何かを暗示しているのです。
 それは紀元前8世紀頃、金星は火星に異常接近し、火星に想像
を絶するカタストロフィーを引き起こしたのではないかという暗
示です。それは、火星の海をも一挙に失わしめるほどの未曾有の
カタストロフィーです。
 火星の質量は金星の8分の1程度ですから、もし異常接近する
と、受けるダメージは火星の方がはるかに深刻になります。神話
で縷々と語られるように火星は金星に敗れ去ったのです。それを
示す証拠はたくさんあります。
 第1の疑問は、火星の地表はなぜ赤いのかということです。
 これは、マリナーやバイキングらの火星探査機によって、既に
明確になっています。火星が赤いのは表土が赤いからです。赤土
が火星の全面を覆っているために、赤く光って見えるのです。
 火星の表土は、土の中に大量の鉄分が含まれていることにより
赤い色をしているのです。酸化した鉄は赤い色を帯びているので
す。探査機バイキングによる分析の結果、赤い土壌の正体は、酸
化第二鉄を含む風化生成物であることが分かっています。
 問題は、火星の表面には、なぜ、こんなにも多量の鉄分が存在
するのかということです。鉄は比較的重い元素ですから、原始惑
星の時代に、その多くは地中深く沈んでしまうのです。
 それでは、地中深く沈んでしまっている鉄分がなぜ地表にあら
われるかです。それは、火山の爆発によって地表に露出してくる
のです。
 赤土として有名な関東平野の「関東ローム層」――これは、か
つて富士山から噴出した火山灰がその正体なのです。火山が爆発
したとき、地中深くにあった鉄分が地上に噴出したのです。その
ため、火山灰の中に含まれる鉄分が酸化して、赤くなってしまっ
たのです。
 それでは、火星の場合も火山が噴火して地中深くにあった鉄分
が表層化したのでしょうか。否、それはあり得ないことです。な
ぜなら、火星中の火山がすべて噴火しても、たかが知れているか
らです。それに、火星の場合、赤土の広がりがきわめて不均衡で
あることです。
 それに、火星には真っ黒な地表が露出しているところがあるの
です。よくよく観察すると、黒い地表の上に、赤土の表土が覆い
被さっていることが分かります。それは、まるで、宇宙から赤い
表土が吹付けられたかのように見えるのです。
 第2の疑問は、火星の赤道付近にあるクレーターの存在です。
 そのクレーターは「台状クレーター」と呼ばれるもので、極地
方特有のクレーターなのです。
 隕石が極地方に衝突すると、厚い氷床の上に破片が積もること
になります。夏になって氷床が溶けはじめますが、上に塵が集積
した場所だけ、日光を遮断するので、溶け方が遅くなります。そ
うすると、クレーターを中心として、氷床が台状に溶け残ってし
まい、結果として台状のクレーターになってしまうのです。
 問題は、本来であれば極地方にしか存在しない台状クレーター
がなぜ赤道付近にあるかです。それにこの台状クレーターは実は
もうひとつ存在し、それは互いに火星の反対側になっているので
す。これは何を意味しているのでしょうか。
 想像でしかありませんが、その台状クレーターのある2つの地
域がかつての火星の極地方であったということになるのです。つ
まり、何らかの天変地異が起こって、両極が移動してしまったと
考えられるのです。これを「ポールシフト」といいます。
 この火星と金星の天変地異は、ギリシャ神話の原典ともいうべ
きホメロスの叙事詩――「イリアス」と「オデュッセイア」にお
ける第20歌と第21歌として伝承されてきているのです。
ヴェリコフスキーは、アテネを「金星の神」、アレスを「火星の
神」とし、この闘いを独自の宇宙論をもって、惑星同士の宇宙的
衝突を描いたものと解釈したのです。
 火星にかかる天変地異があったとすると、火星には超古代文明
があって、その時点で滅びているとの解釈も成り立つのです。
                ・・・[火星の研究/30]


≪画像および関連情報≫
 ・写真左 ・・・ 火星の赤い地表
  写真右 ・・・ 台状クレーター

ヴァイキング探査機の映像.jpg

posted by 管理者 at 03:52| Comment(0) | TrackBack(0) | 火星の研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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