2008年08月04日

●宇宙開発に関わるNASAとJPL(EJ第1541号)

 火星探査機の着陸地点をめぐる食い違い、火星のシドニア地区
における人面岩のあるなし――火星をめぐる発表には表と裏があ
ります。どうしてこのようなことになるのでしょうか。
 それは、宇宙の探査や開発には、次の2つの組織が関わってい
るからなのです。
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    NASA ・・・ 米国航空宇宙局
      National Aeronautics and Space Administration
    JPL  ・・・ ジェット推進研究所
      Jet Propulsion Laboratory
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 NASAの名前は知っていてもJPLの存在は知らない人は多
いと思います。宇宙のことは、すべてNASAが仕切っていると
思っている人が多いのです。しかし、そうなら、NASAの発表
に相反する事実など出てくるはずがないのです。
 少し詳しく知っている人は、JPLは11あるNASAの関連
施設のひとつと考えています。確かにこれは間違っていないし、
JPLを取材するにはNASAの許可が必要なのです。つまり、
JPLはNASAの下部組織であると認識しているはずです。
 しかし、NASAとJPLには大きな違いがあるのです。
 それは、NASAが米国合衆国、大統領直轄の国家機関である
のに対して、JPLは純粋に民間研究施設という点です。もっと
正確にいえば、私立大学であるカリフォルニア工科大学――カル
テックの研究機関なのです。
 工科大学といえば、米国にはマサチューセッツ工科大学(MI
T)がありますが、カルテックはMITと双璧を成す工科大学の
名門中の名門であって、米国テクノロジーの頭脳ともいうべき優
秀な学者や研究者が結集しているのです。
 宇宙開発・探査におけるNASAとJPLの関係を簡単にいう
と、スペース・シャトルや探査機を打ち上げるのはNASAであ
り、探査機から送られてくる画像やデータを分析するのがJPL
ということになります。
 それでは、技術力はどちらが高いのかというと、JPLがNA
SAを大きく上回っていると考えてよいと思います。そのため、
NASAとしては、嫌でもJPLの力を借りざるを得ないという
ことになります。
 どうしてNASAとJPLでは技術力が違うのかというと、そ
もそも歴史からして違うのです。
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     NASA ・・・・・・・ 1958年創設
     JPL  ・・・・・・・ 1940年創設
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 NASAが創設された理由は、ソ連のスプートニクが成功して
米国がショックを受けたからです。既に存在したNACA(国家
航空諮問委員会)を母体として急遽設立したのです。NACAは
航空機を専門とする研究機関で、宇宙空間における衛星やロケッ
トの開発を軽く考えていたのです。
 これに対してJPLは、1940年にカルテックのセオドア・
フォン・カーマンが米国陸軍とロケット開発の契約を結んだのが
キッカケで創設されたのです。
 NASAが創設された1958年には、既にロケット開発の分
野で数々の実績を上げていたので、ロケットに弱いNASAとし
ては、最初からJPLに頼らざるを得なかったのです。しかも、
JPLはその1958年に、米国初の人工衛星エクスプローラ1
号を完成し、その打ち上げに成功しているのです。これによって
米国は先を越されたソ連に追いつくことができたのです。
 このようにNASAは最初からJPLには頭が上がらないので
す。国家機関の権力にものをいわせて、JPLを傘下に置こうと
するのですが、JPLの猛烈な反発にあって成功していないので
す。結局、現在でもNASAはJPLに契約というかたちで仕事
を依頼しているのです。
 NASAは国家機関、JPLは民間の研究機関――この両機関
の溝は大きく、相互に人材の往来もあるので、どうしても情報が
JPLから漏れることになるのです。そして、JPLはNASA
の公式発表にも堂々と異議を唱えるのです。NASAにとってJ
PLは、頼りになる存在であると同時に目の上のタンコブのよう
な存在でもあるのです。
 もうひとつわれわれはNASAという組織について認識してお
くべきことがあります。NASAは「米国航空宇宙局」と訳しま
すが、ここでいう「航空機」とは民間機のことではなく、戦闘機
やロケットのことです。これらはすべて軍事兵器なのです。つま
りNASAは軍事機関なのです。「宇宙開発」というと純粋に学
問的な探査・研究ととられるきらいがありますが、米国の国益を
守るための軍事行動として宇宙開発に取り組んでいるのです。そ
の証拠にNASAのスペースシャトルの乗組員はすべて軍人なの
です。日本をはじめとする一部の外国招待者は別として。
 したがって、NASAが事実を隠したり、事実と違う公表をし
てもそれは当然であるといえます。軍事下において、自国に不利
になると判断される情報は隠蔽したり、改編するのはその意味に
おいて当然であるといえます。
 しかし、その一方において米国という国は、NASAの下に位
置づけられるJPLという民間の組織が、その研究においてNA
SAと違う事実を述べることを容認しているように見えます。い
かにも自由の国、米国らしい一面であると思います。
 火星の人面岩論争も、宇宙開発に思惑の違うNASAとJPL
という2つの組織が存在していることを知ったうえで分析する必
要があるのです。ちなみに、既出のホーグランドは元NASAの
研究員であり、JPLにも関係のある人物なのです。
 火星の人面岩――けっして荒唐無稽な話ではないのです。明日
からさらに分析を続けていきます。
                ・・・[火星の研究/20]


≪画像および関連情報≫
 ・写真上は、ワシントンD.CのNASA本部
  写真下は、JPLのマシンルームの一部/工作機械のほとん
  どは日本製である。探査機などはここで製作される。

NASAとJPL.jpg

posted by 管理者 at 03:20| Comment(0) | TrackBack(0) | 火星の研究 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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